妊婦ちゃん日記 番外編

長い一日〜妊婦ちゃんは今日まで 
注:ちょっと長いよ。

それは 7月16日明け方。何となく腰に痛みを感じて目を覚ました。それから、何度も眠ろうと思い、目を閉じてみるんだけどちっとも眠れない。仕方なく、階段を降り、冷たいものでも飲んで、目を疲れさせれば眠れるだろうと思ってテレビをつける。しばらくそうしていたけど、いっこうに眠くならないし、腰も変な感じ。時計をみると、2時間くらいしか寝てないことに気が付く。「まぁもうすぐ起きる時間だし眠れなくても目だけ閉じていよう。」と階段を上って布団にはいる。
朝、「今日は予定日で健診日だし、この前出血してるから、入院の用意をして行こうと思うの。」とやっくんに言って送り出す。いつも、健診はなるべく混まないうちにと思って朝一番くらいに行くので、この日も同じように、9時頃着くように車に荷物を乗せて出かける。病院までは車で10分くらい。もうすぐ病院というところで腰に軽い痛みを感じる。

 いつものように、血圧・体重を測り、検尿を済ませ、診察室へ。赤ちゃんはやはりすこし小さいらしい。内診で、この前1センチ開いていた子宮口は、まだ1.5センチ程度しか開いていないよう。予定日でもあるのでNSTをする。NSTの結果赤ちゃんの状態が良くないらしい。胎動のあとお腹の中で締めつけられている感じらしい。先生が「赤ちゃんの状態があまり良くないので、陣痛はまだのようだけど予定日だし、様子を見るために入院しましょう。それで、このまま装置を付けて、赤ちゃんの状態によっては産ませちゃいましょう。」と。「産ませちゃうって促進剤か何かかなぁ」と思いながら話を聞いていた。今思えば、先生は重大なことを言ったのだった。この時は「はぁ、そうですか。」くらいにしか思ってなかったもんなぁ。「入院の準備もあるでしょうから、一度帰って・・」と先生が言い終わらないうちに「用意してきてありますからだいじょぶです。」と言ってしまい、先生と看護婦さんに笑われたの。で、即 入院。「ご主人に連絡取って、こちらへ来たら説明をしますから。」と言われたので、「ご主人ねぇ・・・」と思いながら、やっくんに電話。お仕事を切り上げて来てくれることに。

 病室でやっくんが来るのを待つ。その間も危機感ゼロ。やっくん到着後、先生がいらして胎児の状態の説明をしてくれ、その中で、「状態が悪くなるようなら帝王切開します。」っていうじゃない。そこで初めて「帝王切開?聞いてない〜〜」と思うと同時に「これは結構大変かも・・・」と思った。やっと。「産ませちゃう」の言葉は促進剤の事じゃなくって帝王切開の事だったんだね。先生ダメだよ、この私に含みのある言葉や遠回しな言い方しちゃ・・・。でもね、帝王切開って聞いても、動揺とかしなかったな。自然分娩なら産みの痛さ、帝王切開ならお腹を切る痛さってものがあるわけでしょう。「どっちにしろ痛いってものよ。赤ちゃんが無事な方を選んでもらいましょう。」くらいかなぁ考えたのは。
陣痛監視装置を付けて、ベッドに横になる。胎動の後、赤ちゃんの心拍数が下がる。この状態が続くと危険らしい。もうここまで来たら、先生にお任せする他はない。どうか無事生まれて欲しい。

 そうこうしてるうちに一定間隔で腰が痛くなってくる。最初は20分くらい。夕方頃には10分間隔で痛みが来る。先生が来て装置から出てくる紙を見ながら「お腹は痛い?」って聞くから、「腰が痛い」って言うと「まだまだ」と帰ってしまう。洋子さん(my mother)は「それ陣痛じゃないの?」と私に言うけど、先生方は腰が痛いのは陣痛って言ってくれないの。「お腹は痛くない」って言うと「まだ、陣痛じゃないわね。」って。凄く痛いのよぉぉぉぉぉ。====そうねえ、どんな痛みかっていうと・・・男の人はアソコの穴はないからお尻の穴でいいや。そこから、誰かに両手を入れられて、骨盤をガシッと掴まれて、ガンガン拡げられながら、おもいっきり下に引っ張られる感じかなぁ。誰かが骨盤を引き裂くぅ・・・ってな感じ。ほんっっっっっっっっっとうに痛いのよ。経験のある方は解っていただけると思うけど。ねぇ。骨盤割れるかと思うわよ。====さてさて。先生に殆ど寝てないことを話すと、「今晩はとにかく寝ておきましょう。」と、鎮静剤のようなものを注射してくれる。薬の効果で、眠くなるものの、腰の痛みの度に目が覚める。痛みがひくと異常に眠い。それの繰り返し。寝ている間本人はものすごく時間が経ったように感じるけど、時計の数字はなかなか進まない。5分置きに痛みで目が覚める。不思議なもので、痛みは規則正しく、そのくせ確実に間隔をせばめながら襲ってくる。やっくんに腰をさすってもらう。でも痛い。

 痛みと眠さと戦っているうちに分娩準備室(陣痛室とでも言うのかしら。分娩室の隣の部屋)へ。何時くらいだったろう。10時は過ぎてたかなぁ・・。腰はぐんぐん痛くなるし、夕方内診をしたので出血もある。腰の痛みとは別に何かがお腹の中から下がってくる感じ。====ボーリングの球をお尻の穴から押し出されそうな感じかな・・====「ン゛〜〜〜〜〜」っていきみたい。でも、看護婦さんが「いきんじゃダメ。」って言う。「フーっフーっフーっフーっ」って痛みを散らす。痛いのと、薬で眠いのとで朦朧としている。看護婦さんは時間で様子を見に来るけど。その間部屋には洋子さんとやっくんと朦朧と痛がってる私。「もう限界っ。痛いっ。いきみたいっ。ほんとに限界っ。」ってとこでナースコールを押す。看護婦さんが来て、「まだダメっ。」っていうけど、私の意志に反して、体が自然にいきんでしまう。看護婦さんは手を握って一緒に呼吸してくれたり、お尻を押さえてくれたり・・====お尻が痛いのよ。もう この時は。出産で痔になるの解る気がする。ちなみに私はならずに済みました。====そのうちに歩いてとなりの分娩室へ・・・。

 分娩室に入った私は、「寝ちゃいけない。寝ちゃいけない。」と、それを一番に考えてた。眠い中、妙に冷静な自分に気が付く。痛いし、眠いし、看護婦さんに言われるままいきんだり、休んだりしていると同時に周りをちゃんと見てる自分がいる。(先生が指でビロビロ〜ってひろげてるとか局部麻酔を打ったとか会陰切開してるんだぁとかね。)「いきむときに声出さないでっ」ってなんて難しい注文をこの極限状況で言うんだろう・・とか思いながら「フーーーーーーーーーーーんんっ」と長くいきんだ後「フッフッフッフッフッフッ」と休んで(これは赤ちゃんに酸素を送るんだって)、また「フーーーーーーーーーーーんんっ」「フッフッフッフッフッフッ」を繰り返す。5回目くらいにいきんだ時、「赤ちゃん出てきたからいきむのやめて。」と言われ、その後、「ちょっといきんで。」といきんだ時、ヌリュッっとした感じがあった後「フギィャーフギィャー」と赤ちゃんの泣き声が聞こえた。生まれたんだぁ。
 看護婦さんが体を拭いて、体重を計ってくれる。「2586グラムです。」良かった。先生も「2500あったからヨシとしましょう。」と言ってくれた。15分くらい胎盤の処理したり、縫合をしたりの後、やっくんを呼んでもらう。

 生まれたての赤ちゃんは本当に真っ赤でくしゃくしゃしてる。分娩台に寝てる私の横に赤ちゃんが来る。寝てる赤ちゃんを見て、「無事生まれてくれてよかった。ありがとう。」と思う。2時間くらいそのまま2人でいる。看護婦さんが来て、赤ちゃんにおっぱいを吸わせる。吸えるわけはないんだけど、「これが大切なの。」とちーっちゃい赤ちゃんの口を私のおっぱいにつける。ほんとつけるだけ。
その後、赤ちゃんは新生児室へ。私は病室へ戻る。
長い一日。




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